桜の渡(読み)さくらのわたし

日本歴史地名大系 「桜の渡」の解説

桜の渡
さくらのわたし

[現在地名]吉野町大字飯貝・上市

飯貝いいがい上市かみいちをつなぐ吉野川の渡津。現在は桜橋が架橋されている。「大和志」に「桜在池田村、柳在六田村、瀬上渡在安智加村、倶済吉野川」とあり、それぞれ吉野川北岸の現国道一六九号と南岸の河南街道を結ぶ渡津であった。

桜の渡の文献上の初見は、天正二年(一五七四)一一月一九日上市村より竜門りゆうもん惣郷へ宛てた田原たわら(現宇陀郡大宇陀町)の片岡家文書。同文書は、上市橋近くで田原村の人が不慮の死を遂げたことから上市・田原両村の争いとなり、越智伊与守のあつかいでやなぎ村から死人菩提のため米二石を寄進したので、今後竜門郷の人の上市橋通行税を免ずることを約したもので、当時ここで通行税を支払っていたことを示す。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の桜の渡の言及

【宮川】より

…伊勢神宮の神領の境界をなし,神域に入るための禊(みそぎ)をする神聖な川とされ,歌枕でもあった。かつて参宮街道はこの川を船で渡り,大和・紀州方面からは柳の渡し(上の渡し),京や東国方面からは桜の渡し(下の渡し)を渡った。上流は多雨地帯で,大杉谷(天)など峡谷が美しく吉野熊野国立公園に含まれ,宮川ダムもある。…

※「桜の渡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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