梅若(読み)ウメワカ

デジタル大辞泉 「梅若」の意味・読み・例文・類語

うめわか【梅若】

能のシテ方一派。もと丹波猿楽の一座近世初頭に観世座に併合された。大正10年(1921)観世流から分かれたが、のち復帰した。

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精選版 日本国語大辞典 「梅若」の意味・読み・例文・類語

うめわか【梅若】

  1. うめわかまる(梅若丸)
    1. [初出の実例]「梅若のあと問ふならば鶯も法華経やめて申せ念仏」(出典:江戸雀(1677)一一)

うめわか【梅若】

  1. 能楽師家号一つ。→梅若流

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朝日日本歴史人物事典 「梅若」の解説

梅若

中世以降の伝説上の人物。観世元雅作の能「隅田川」に始まり,浄瑠璃,歌舞伎など,近世の演劇,芸能で「隅田川物」と呼ばれる作品群の主要登場人物となる。吉田少将の子で,人買いにさらわれ隅田川のほとりで死に,京から訪ねてきた母がそれを知り狂女となったと伝えられ,これが「隅田川物」のモチーフの根幹をなす。近松門左衛門「双生隅田川」(1720)以降,母班女,弟松若,人買い猿島惣太,恋人花子などの登場人物と,吉田家の騒動または没落というストーリーがほぼ一定する。初代奈河七五三助「隅田川続俤(法界坊)」,4代目鶴屋南北「隅田川花御所染(女清玄)」,河竹黙阿弥都鳥廓白浪(忍ぶの惣太)」など,後代の作では梅若は背景的存在となるが,梅若忌(旧暦の3月15日)に因みすべて春狂言である。

(上村以和於)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

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