梨子地(読み)ナシジ

デジタル大辞泉 「梨子地」の意味・読み・例文・類語

なし‐じ〔‐ヂ〕【梨子地】

蒔絵まきえ地蒔じまの一。漆を塗った上に梨子地粉を蒔き、乾燥後、梨子地漆を塗って、漆を透かして梨子地粉が見えるように研いだもの。梨の実の表皮に似るのでいう。鎌倉時代に始まる。
梨子地織」の略。

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精選版 日本国語大辞典 「梨子地」の意味・読み・例文・類語

なし‐じ‥ヂ【梨子地】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 蒔絵(まきえ)一種。漆塗りの面に梨子地粉を蒔き、梨子地漆を塗って粉を覆い、粉を研ぎ出さずに漆を透かして見せる法。桃山時代には文様中に用いられる絵梨子地が流行し、江戸時代には叢梨子地、鹿の子梨子地、刑部梨子地などの各種が工夫された。梨子地蒔絵。梨子地蒔。
    1. [初出の実例]「御前には古びたるかは蒔絵のなしぢの箱」(出典:延宝版宇津保(970‐999頃)蔵開下)
  3. なしじおり(梨子地織)」の略。
  4. 夜空に、火事の火の粉が散らばっているのを形容する語。
    1. [初出の実例]「天は一面に梨地の色を現はし、火事の明りで往来を見へ透き」(出典:塩原多助一代記(1885)〈三遊亭円朝〉四)

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