日本大百科全書(ニッポニカ) 「極と極線」の意味・わかりやすい解説
極と極線
きょくときょくせん
二次曲線Γと点Pが与えられたとする。Pを通る直線とΓとの交点をX、Yとするとき、X、Yに関するPの共役点(すなわちP、Q、X、Yが調和列点となるときの点Q)は直線をPの周りに動かせば一つの直線g上にある。gをPの極線、これに対してPをgの極という。極と極線に関するもっとも基本的な定理は次である。
「Γに関して点Pの極線gが点P′を通れば、P′の極線g′はPを通る」。このとき点PとP′(および直線gとg′)はΓに関して互いに共役という。Γが円錐(えんすい)曲線(楕円(だえん)、双曲線、放物線)の場合、点PがΓ上にあれば、gはPにおけるΓの接線である。PがΓの外にあれば、PからΓに2本の接線を引いて のようにgをつくればよい。PがΓの内部にあるときは による。すなわち、Pを通り任意に直線h1、h2を引き、 のようにしてQ1、Q2を求める。h1はQ1の、h2はQ2の極線になるから、定理によってPの極線gは2点Q1、Q2を通る直線である。極と極線の関係は射影変換で不変な性質であって、射影幾何学において華麗な多くの定理を生み出している。
[立花俊一]