日本大百科全書(ニッポニカ) 「楽邦文類」の意味・わかりやすい解説
楽邦文類
らくほうもんるい
中国、宋(そう)代の仏書。五巻。中国天台宗の僧、石芝宗暁(せきししゅうぎょう)(1151―1214)が、浄土教に関する経文、呪文(じゅもん)、偈頌(げじゅ)、詩詞を編集したもの。本書は、儒家の柳宗直(りゅうそうちょく)の『西漢文類(せいかんもんるい)』に倣ったものといわれ、『法華経(ほけきょう)』『無量寿経(むりょうじゅきょう)』の経文をはじめ、慧遠(えおん)の「念仏三昧(ねんぶつざんまい)詩序」、蘇軾(そしょく)の画「阿弥陀(あみだ)仏像偈(げ)」など、数多くの断簡を集めたもので、中国浄土教の研究のうえで貴重な資料といえる。この続編として、『楽邦遺稿』二巻がある。
[池田魯參]