日本大百科全書(ニッポニカ) 「構造帯」の意味・わかりやすい解説
構造帯
こうぞうたい
tectonic belt(zone)
地層の種類や時代が異なっている二つの地質単元の境界域に形成された、特異な地質構造を備えた狭長な地帯。一般に幅数キロ~数十キロメートル、長さ100キロメートル以上の規模のものについていう。この狭長な地帯には、その延びの方向にほぼ平行な走向をもつ断層が多数並走し、蛇紋岩のレンズ状岩体が断層と平行に随所に産出する。花崗(かこう)岩や変成岩、および変成していない堆積(たいせき)岩など多様な岩石からなることが多い。日本の例では秩父(ちちぶ)帯北帯と三宝山(さんぼうさん)帯の間の黒瀬川構造帯、北部北上(きたかみ)帯と南部北上帯の間の早池峰(はやちね)構造帯、飛騨(ひだ)変成帯と美濃(みの)帯の間の飛騨外縁構造帯などがあげられる。現在、これらは単に黒瀬川帯、早池峰帯、飛騨外縁帯とよばれることが多い。欧米では、「○○構造帯」と称することはほとんどなく、単に「○○帯」と称する。
[吉田鎮男]