日本大百科全書(ニッポニカ) 「横ずれデュープレックス」の意味・わかりやすい解説
横ずれデュープレックス
よこずれでゅーぷれっくす
strike-slip duplex
横ずれ断層が、互いに同様のいくつかの断層面に分岐したり合流することにより、断層が重なった状態になっているもの。衝上断層が分岐して上下に重なって形成された衝上デュープレックスや、正断層が分岐して上下に重なった伸張デュープレックスの横ずれ断層版である。横ずれ断層によって取り囲まれた個々のブロックはホースとよばれる。横ずれデュープレックスは、断層が全体として屈曲する部分で形成されることが多い。横ずれ断層の解放性屈曲の部分では、両側のブロックが互いに離れ合うため、それぞれのホースがお互いに遠ざかって全体として引き延ばされた横ずれデュープレックスとなる。一方、横ずれ断層の拘束性屈曲の部分では、両側のブロックが互いにぶつかり合うため、それぞれのホースがお互いに重なり合って全体として短縮し膨らんだ横ずれデュープレックスとなる。なお、解放性屈曲に伴う部分での横ずれデュープレックス内の断層は正断層成分の変位を伴い、拘束性屈曲に伴う横ずれデュープレックス内の断層は、逆断層(衝上断層)成分の変位を伴うことが普通である。横ずれデュープレックスとしては、ニュージーランドのアルパイン断層北東部のマルボロー断層系に伴うものが知られている。
[村田明広]