知恵蔵 「機能性RNA」の解説 機能性RNA 細胞内でたんぱく質の合成に関与するメッセンジャーRNA(mRNA)やトランスファーRNA(tRNA)などの既知のRNAと異なり、たんぱく質の合成に直接は関与せず、細胞の分化などに重要な役割を果たしているRNAのこと。機能性RNAの塩基配列は、特定のたんぱく質のアミノ酸配列を定めていない(コードしていない)ことから、ノンコーディングRNA(ncRNA、非コードRNA)とも呼ばれる。ゲノムのDNAの遺伝子は、たんぱく質をコードしているものと、たんぱく質をコードせず、機能性RNAを作りだしているものとに大別できる。機能性RNAは多種類あり、それ自身で機能を持ち、遺伝子の働きを調節していると考えられている。ポストゲノム研究では、細胞内での機能性RNAの働きの解明が焦点になりつつある。機能性RNAは、生物の個体発生や細胞分化などで機能していると見なされていて、その研究は創薬分野や、再生医療の分野などで、大きな進展をもたらすと期待されている。 (川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年) 出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報 Sponserd by