日本大百科全書(ニッポニカ) 「欧陽山」の意味・わかりやすい解説
欧陽山
おうようざん / オウヤンシャン
(1908―2000)
中国の作家。本名楊鳳岐(ようほうき)。湖北省生まれ。極貧のうちに成長、16歳で処女作の短編を発表して以後文学に志す。1933年中国左翼作家連盟に加入、1942年延安で「文芸座談会」に参加、俗語・方言を使った傑作中編『高乾大(カオカンター)』(1946/邦訳名『高(カオ)おとっさん』)を書く。新中国成立以後は広州へ戻り『前途似錦』『英雄三生』(ともに1955。中編)、長編『一代風流』(全5巻。1959~1985)などを書いた。『一代風流』は周炳という美少年を主人公に、1919年の五・四運動から中国解放までの歴史を描こうという大河小説で、古い風俗習慣、多彩な人物が丹念に書き込まれている。
[多田正子]
『多田正子訳『高おとっさん』(1984・誠文堂新光社)』