国指定史跡ガイド 「正長元年柳生徳政碑」の解説
しょうちょうがんねんやぎゅうとくせいひ【正長元年柳生徳政碑】
奈良県奈良市柳生町にある石碑。奈良市東方、柳生町の旧奈良街道の路傍に、高さ3m、幅3.3m、奥行き4mの花崗岩が露出している。その南面中央には俗に「疱瘡(ほうそう)地蔵」と呼ばれる像高110cmの半肉彫りの石造地蔵菩薩立像があり、その下方の縦36cm、横10.5cmの長方形をした枠取りのなかに徳政文がある。今日に残る徳政碑として中世の法制史・経済史を知る資料的価値が高いとして、1983年(昭和58)に国の史跡に指定された。大和国における徳政要求の土一揆は文献資料によれば、奈良に限っても1590年(天正18)にいたる間に十数回に及んだという。碑文の作成者は石刻であることから幕府のような上級の権力者とは考えにくく、この地の有力者が礼拝の石仏の一部に刻んだものと推定される。近畿日本鉄道奈良線近鉄奈良駅から奈良交通バス「柳生」下車、徒歩約10分。