武庫庄(読み)むこのしよう

日本歴史地名大系 「武庫庄」の解説

武庫庄
むこのしよう

武庫郡に所在した奈良春日社兼興福寺領庄園。庄域は現西宮市小松こまつ付近にも及んでいた。古代武庫郡武庫郷(和名抄)の郷名を継承、江戸時代の武庫庄村が遺称。寿永三年(一一八四)に「武庫庄小松并供御所」の下司・公文職が補任されている(同年五月一八日「源頼朝下文」末吉文書)。文治六年(一一九〇)に内宮役夫工作料未納分の催促朝廷から求められた源頼朝は、一条能保(頼朝義弟)に指示している(「吾妻鏡」同年四月一九日条)。建久三年(一一九二)に頼朝から能保室で頼朝の同母妹に譲与されていた平氏没官領武庫御厨など二〇ヵ所の遺領が男女子息に処分されている(同書同年一二月一四日条)。その後順徳天皇中宮の東一条院立子の寄進によって春日社兼興福寺領となるが(三箇院家抄)、立子は九条良経の女で母は一条能保室の女であった。

興福寺では女院御八講料所および東金堂御塔供料所に充てられ、大乗院門跡が管領する所領として推移していった(三箇院家抄)。正嘉元年(一二五七)に大乗院門跡に対して、三代にわたって知行していたが未進を理由に解任された信基が再任を訴えている(「経俊卿記」同年五月三日・八日条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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