生まれたての新生児につかわせる湯をいう。胎児には母胎の羊水内で皮膚に胎脂が付着しており、また出産の過程で血液などが付着する。これらを洗い落とす目的で用いる。通常は新生児用の浴槽を使うが、清潔なたらいなどを使用してもよい。湯の温度は夏季で38℃、冬季で40℃ぐらいが基準とされており、新生児への負担を軽減するため、手早く済ませるのが一般的である。
[帆足英一]
出産直後に、産婆によって沐浴させる湯を普通には産湯とよんでいるが、地方によっては3日目の湯浴みせをユゾメとかウブユなどとよぶ所がある。高貴の人々の誕生習俗でも、3日目の沐浴を重視してさまざまな儀式を伴うので、このときの沐浴は儀礼的な面が大きいことがわかる。一般常民の間で、多くの土地に伝承されていることは、子供が生まれると普通は布裂(ぬのきれ)に包んでおいて、3日目の湯浴みせのあと初めてウブギとかテトオシとよぶ、袖(そで)のついた着物を着せる習わしのあった所が多い。新潟県の佐渡ではこの3日目に着せる着物を、ニンジュギモン(人衆着物)という。ニンジュとは、この地方で仲間ということ、すなわち人間の仲間入りして着る着物という意味である。産湯そのものにもしきたりが多いが、捨てる場所にも心を使って、日の当たらない所、産室の床下、方角をみて捨てるなどということがある。もしこの場所が悪いと子供が夜泣きをするという俗信もある。
[丸山久子]
分娩後すぐに使わせる湯をいうが,以前は分娩直後の産湯と,3日めの湯を区別したようである。分娩直後の産湯の水は,けがれのあるものとして,太陽の当たらぬところ,産室の床下や方角のよいところを選んで捨てた。捨て場所がわるいと生児が夜泣きするという俗信はひろく見られる。3日めに使わせる湯を,ウブユあるいはユゾメといい,これがすんではじめて里方からおくられた袖のある〈手通し〉という産着を着せて三日祝を行った。3日めの産湯にはこのような儀礼的な意味があった。《三州奥郡産育風俗図絵》によれば,分娩して後産が出て,へその緒を始末してから生児を洗うのを〈初湯(はつゆ)〉または〈とりあげの湯〉といい,そのためには大すり鉢を用いた。三日の湯以後はたらいを用いたという。偉人の産湯に使われたという湧き水の伝説は全国に分布しているが,その水を妊婦が飲むと安産するとか,女児の産湯に用いるなど不思議な薬効を説いているものもある。
執筆者:大藤 ゆき
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
…大坂ではそうした井戸水はもっぱら洗水とし,飲水は水売から清澄な川水を買って使う家が少なくなかった。また,いわゆる江戸っ子が〈水道の水で産湯を使った〉などと自慢したのは,良質の井戸水を知らなかったためともいえるだろう。水のよかったことが京都で茶の湯を盛んにした一因でもあり,西洞院三条の柳水(やなぎのみず),四条東洞院の松本井,六条堀川の醒井(さめがい),北野の利休井などは名水の名をうたわれた。…
…鞍馬寺では,戦国時代には,〈虎巻之法〉を修したことが知られ,〈虎之巻〉は毘沙門天の絵像とともに各地に配布されていたといわれる。【村下 重夫】
[医術,呪術]
《紫式部日記》には,中宮彰子が出産した皇子の〈御湯殿の儀式〉(産湯)の際,〈虎のかしら宮の内侍とりて御さきにまゐる〉と記されている。中国隋代の《産経》に〈初湯の際,虎の頭を湯の中に漬して沐浴すると,児を無病にする〉とある。…
※「産湯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
群馬県のマスコットキャラクター。人間だと7歳ぐらいのポニーとの設定。1994年の第3回全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック群馬大会)で「ゆうまちゃん」として誕生。2008年にぐんまちゃんに改名...
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