武蔵寺経塚(読み)ぶぞうじきようづか

日本歴史地名大系 「武蔵寺経塚」の解説

武蔵寺経塚
ぶぞうじきようづか

[現在地名]筑紫野市武蔵

武蔵寺境内の南隅にあたる独立山丘、通称どう山上にある。頂上は南北三五メートル・東西二〇メートルほどの平坦面をなし、この縁辺沿いに一一基の経塚が造営された。昭和四〇年(一九六五)経筒二個が発見された(一号経塚)。本格的調査は同四三年に行われて一〇基(二―一一号)が発見されたが、うち三基(六―七号・一〇号)は盗掘されていた。経塚の構造には円形素掘り穴、石囲い(石室)の二種があり、銅製経筒を直納または陶製外容器に収納して埋納したのち空間に炭・灰を充填する。次に蓋石をかぶせてその上に礫群を置き、地上に若干盛土したと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「武蔵寺経塚」の意味・わかりやすい解説

武蔵寺経塚
ぶぞうじきょうづか

福岡県筑紫野(ちくしの)市武蔵の武蔵寺境内裏山に存在する経塚群。1968年(昭和43)に発掘調査が実施され、10か所の経塚が台地上の縁辺に沿って営造されていたことが確認された。経塚出土の経筒(きょうづつ)は六例あり、銅板製と、鋳銅製積上(つみあげ)式の2種が認められた。第5号経塚出土の鋳銅製2段積上式経筒には「大治(だいじ)元年(1126)閏(うるう)十月廿五日 勧進僧……」の銘がある。副納品に和鏡、青白磁香合(こうごう)、銅鈴がみられる。

[坂詰秀一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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