歯肉線維腫症(読み)しにくせんいしゅしょう(英語表記)Gingival fibromatosis

六訂版 家庭医学大全科 「歯肉線維腫症」の解説

歯肉線維腫症
しにくせんいしゅしょう
Gingival fibromatosis
(歯と歯肉の病気)

どんな病気か

 歯肉線維腫症は、遺伝因子が関係する遺伝性歯肉線維腫症と、遺伝因子とは関係のない特発性歯肉線維腫症に分けられます。遺伝性歯肉線維腫症は、増殖の程度が高度で、女性に多くみられ、家族的に発現します。

 硬く増殖肥大した歯肉が歯冠の大部分をおおうことから、古く歯肉象皮症(しにくぞうひしょう)、歯肉巨大症などとも呼ばれていました。歯肉肥大は、乳歯が生えるころ、時には永久歯が生えるころから始まり、薬物による歯肉増殖症と類似しています(薬物性歯肉肥大(やくぶつせいしにくひだい))。

症状の現れ方

 通常、口のなか全体に歯肉肥大が対称性に起こりますが、奥歯より前歯の部分に高度にみられます。奥歯では、上あごでは裏側(舌側)、下あごでは表側の歯肉に肥大が高度にみられます。

 増殖肥厚(ぞうしょくひこう)した歯肉はピンク色をしており、硬く、表面は平滑で、炎症症状はほとんどみられません。また、歯の形、生える順番、あごの骨の発育に異常は認められません。

 全身的には、多毛症(たもうしょう)精神発達遅滞(せいしんはったつちたい)を伴うことがあります。

治療の方法

 増殖肥大した歯肉を外科手術で切り取ります。再発することもありますが、一般的に予後は良好です。

伊藤 公一

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android