乳歯に対して,これと交代して生涯にわたって機能を営む歯をいう。永久歯には,代生歯successional teethとも呼ばれるこれらの歯のほかに,その後方にはえる大臼歯も含める。大臼歯は発生学的には乳歯に属する歯で,加生歯Zuwachszähne(ドイツ語)とも呼ばれる。しかし,はえる時期が代生歯のそれに似ており,機能も生涯にわたって営まれることから永久歯に含めている。したがって,ヒトの永久歯数は代生歯20本,加生歯12本,合計32本であり,歯式ではI2/2C1/1P2/2M3/3=32,あるいはで表される(Iは切歯,Cは犬歯,Pは小臼歯,Mは大臼歯を表す記号であり,片側の上下顎歯数を示している)。永久歯の大きさは,形が乳歯とよく似た切歯や犬歯では乳歯より大きいが,形が似ていない小臼歯,ことに第2小臼歯では乳歯のほうが大きい。系統発生的にみると,永久歯は乳歯に比べて動物の進化とともに退化する傾向が強く,永久歯の欠如や形態の変異の頻度が高い。
→歯
執筆者:小野 博志
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6歳ごろから生え始め、終生生えかわることのない歯を総称して永久歯という。乳歯が抜けたあとに生える20本の歯と、乳歯より奥に生える12本の奥歯(大臼歯(だいきゅうし))の計32本よりなる。
[矢﨑正之]
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…吸収の開始は切歯で4~5歳,犬歯,臼歯は7~8歳であり,脱落時期は前者で6~8歳,後者で9歳半から11歳である。乳歯は永久歯に比べて原始的形態をとどめている。歯質の厚さは薄く,酸に対しより脱灰(カルシウムなどが溶け出ること)されやすい。…
…それは有胎盤類ではいくつかの要素から成り立っている。第1は,魚類から爬虫類まで続いてきた多生歯性が変わったこと,つまり,各歯の代生は一度だけで,乳歯とその代生歯である永久歯という2世代だけか,または代生が一度も起こらず,1世代だけの歯が生ずるようになったことである。2世代だけはえることを〈二生歯性〉,1世代だけはえることを〈一生歯性〉といい,それぞれの歯がどちらによるかは動物の種と歯の種類によって厳密に決まっている。…
…乳歯抜去の適応症には,次のような場合がある。すなわち,(1)歯根が吸収されて歯が動揺し十分咀嚼(そしやく)ができない場合,(2)乳歯がいつまでも残っているために後継の永久歯が萌出できない場合,(3)永久歯の萌出により乳歯根が圧排されて歯肉粘膜に褥瘡(じよくそう)(一種の炎症性硬結)をつくる場合,などである。永久歯抜去の適応症には,次のような場合がある。…
※「永久歯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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