山川 世界史小辞典 改訂新版 「民主党〔アメリカ〕」の解説
民主党〔アメリカ〕(みんしゅとう)
Democratic Party
アメリカの二大政党の一つ。ジャクソンの支持者たちによって1820年代に組織されたのが始まり。29年から61年まで8年間を除いて大統領の地位を占めたが，南部を有力な地盤としていたため，南北対立の激化とともに，北部に共和党の台頭を招き，60年には民主党自体も南北に分裂した。南北戦争後，南部諸州の連邦復帰とともに，民主党も南部と北部大都市とを主な地盤とする全国的政党として復活したが，共和党に比べ劣勢であった。20世紀に入って都市化が進行するにつれて，民主党内でも北部都市の比重が高まった。特に民主党はニューディール以来全国的には革新政党として福祉の充実に努め，第二次世界大戦後は人種差別撤廃を標榜した。しかし1960年代以来，人種・性関係の変化が民主党支持層を分裂させ，南部白人の多数が共和党支持に傾いた。また福祉見直し論や規制撤廃論の台頭により党はニューディールから「偉大な社会」へと継承された政策路線の転換を迫られた。ベトナム戦争政策の失敗も党に打撃を与えた。こうして68年には民主党優位の時代が終わり，以後，候補者しだいで投票行動を変える無党派有権者層が増大した。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報