山川 世界史小辞典 改訂新版 「人種差別〔アメリカ〕」の解説
人種差別〔アメリカ〕(じんしゅさべつ)
racial discrimination
アメリカの国勢調査では,アメリカ人は白人のほか,黒人(アフリカ系),アメリカ・インディアンおよびアラスカ先住民,アジア人,ハワイ先住民および太平洋諸島人,その他(ヒスパニックなど)の5グループに分けられる。白人の有色人差別ゆえに,過去の差別に対する補償や優遇措置がとられたが,白人が逆差別だと主張する例もある。また国家,集団による人種差別(奴隷制,南部の人種分離)は1964年公民権法で撤廃され,個人間でも人種差別が不条理であることは広く認識されている。人種の統合・融合は理想であり,人種間結婚もふえている一方,奴隷の正当化,非白人移民の排斥,白人優越主義がかつて受容されていたアメリカ社会であるだけに,人種差別は完全にはなくなっていない。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報