民衆革命(読み)みんしゅうかくめい

知恵蔵 「民衆革命」の解説

民衆革命

1987年以来、13年間に及びセルビアとユーゴスラビア連邦の権力を握ってきたミロシェビッチ政権が、2000年9月24日の大統領選挙の敗北を契機に崩壊した。ミロシェビッチ政権は延命のため、連邦憲法を修正し、任期を1年間前倒しにして選挙に臨んだ。野党勢力が分裂しており、十分に勝算があると判断したからだ。しかし、大統領選挙に際して、野党18党はセルビア民主野党連合を結成し、セルビア民主党のコシュトニツァ党首を統一候補として擁立。選挙結果は民主野党連合の集計によると、コシュトニツァ候補が53%、ミロシェビッチ大統領が35%であった。しかし、連邦選管は集計を不正操作して、それぞれ49%、39%であり、同年10月8日に決選投票を実施すると発表。民主野党連合はこれに抗議し、ゼネストを展開。コソボ紛争以後、経済制裁の続いていたセルビア経済の疲弊は大きく、セルビア国民の大規模な抗議行動の中、追い込まれたミロシェビッチ大統領は軍や治安警察を使うこともできず、10月6日に敗北を宣言した。

(柴宜弘 東京大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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