朝日日本歴史人物事典 「水野元朗」の解説
水野元朗
生年:元禄5(1692)
江戸中期の庄内藩(山形県)藩士。のちの出羽庄内藩の藩校致道館に徂徠学をもたらした先駆者。庄内藩家老,市兵衛の長子。勘解由,大膳とも称した。享保16(1731)年中老,寛保2(1742)年家老に昇任。禄高1500石。はじめ朱子学を修めたが,のち荻生徂徠に傾倒し,10年に板行された「徂徠先生答問書」3巻の後半は,元朗の質問に対して徂徠が答えたものである。徂徠没後,太宰春台に師事し,『論語古訓外伝』など,春台の著書板行に多くの資金援助も行った。その学風は,庄内藩に受け継がれ,文化2(1805)年に完成する致道館の学統の基礎となっている。
(横山昭男)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報