汗管腫(読み)かんかんしゅ(その他表記)Syringoma

六訂版 家庭医学大全科 「汗管腫」の解説

汗管腫
かんかんしゅ
Syringoma
(皮膚の病気)

どんな病気か

 顔面、とくにまぶたに多発して発生する小型で扁平に隆起した発疹で、汗を出す管である汗管が増殖してできたものです。

症状の現れ方

 女性に多く、思春期以降に現れます。眼のまわり、とくに眼の下に多発して発生しますが、額や頬にもみられます。直径1~5㎜くらいの、ほぼ皮膚と同じ色か、やや褐色の平らに盛り上がった皮膚と同程度の軟らかさをもつしこりです。年齢とともに次第に数が増え、大きくなりますが、3~5㎜前後の大きさにとどまります(図78)。

検査と診断

 通常は見た目だけで診断できます。診断に疑いがある場合には、1個切除して病理検査を行います。

治療の方法

 悪性化はしないので治療の必要はありません。また、美容上の悩みになることがありますが、満足できる状態にする確実な治療法はありません。最近、炭酸ガスレーザー治療を行う施設がありますが、これは病変部を熱で壊す治療法なので、どの程度の瘢痕(はんこん)が残るのか、いくつかで試してみてから、治療を受けるかどうか決めることをすすめます。健康保険が適用でない場合があります。

病気に気づいたらどうする

 よく似た別の病気もあるので、皮膚科専門医を受診することをすすめます。

田村 敦志


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「汗管腫」の解説

かんかんしゅ【汗管腫】

 成人女性の下まぶたにできる直径2~3mmの皮膚の隆起です。たくさんできることが多いようです。皮膚内の汗管の細胞が、局所で増殖したために隆起します。
 悪性化することはありませんから、放置しておいても心配ありません。化粧品で隠せますが、目立つ場合は、局所麻酔をして、腫瘍を1つずつ切除することもできます。
 炭酸ガスレーザーによる治療も行なわれていますが、後で色素沈着や瘢痕はんこん)ができることもありますので、専門医とよく相談しましょう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「汗管腫」の意味・わかりやすい解説

汗管腫
かんかんしゅ
syringoma

汗腺腫ともいう。エクリン汗腺の増殖による小嚢腫。白黄色を呈し,扁平に隆起する母斑性腫瘍で,大きさは米粒大,女子に多発する。思春期に上胸部に対側性,播種状に生じる型と,中高年者の下眼瞼散発あるいは多発する型とに大別される。まれに大陰唇に生じることもある。

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