江都二色(読み)えどにしき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「江都二色」の意味・わかりやすい解説

江都二色
えどにしき

江戸時代の代表的な玩具(がんぐ)絵本。1773年(安永2)江戸・鱗形屋(うろこがたや)刊。絵は北尾重政(しげまさ)。大田南畝(なんぽ)の序がある。江戸で流行の玩具類を、古いもの新しいものを問わず2種(色)ずつ取り合わせ、全54図に描いて書名としている。各図に木室卯雲(きむろぼううん)の題歌が添えてある。鶯笛(うぐいすぶえ)、芋虫(いもむし)ころころ、猿の木昇り、御来迎(ごらいごう)、飴(あめ)細工の鳥、引出し絵、米搗(こめつ)き猿、振り鼓、与次郎人形、豆鉄砲、ぶりぶり、千木(ちぎ)箱、裸人形、金平(きんぴら)人形、犬張り子、猫(ねこ)と鼠(ねずみ)、お蝶(ちょう)どのの手車、羽子板、こまなど、江戸玩具88種が描かれている。享保(きょうほう)年間(1716~1736)以後、安永(あんえい)年間(1772~1781)ごろまでの玩具、児童生活を知る貴重な資料となっている。

[斎藤良輔]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の江都二色の言及

【郷土玩具】より

…元禄(1688‐1704)ころの市井風俗を描いた井原西鶴の《男色大鑑》は,大坂盛場の手遊び屋(玩具店)に子ども向きの張子細工などの,いずれも郷土玩具の祖型をおもわせる新考案玩具類がすでに売られている模様を伝えている。さらに1773年(安永2)刊の玩具絵本《江都二色(えどにしき)》(北尾重政)には,当時流行した88種の江戸玩具が描かれている。そのなかには鶯笛(うぐいすぶえ),振り鼓(つづみ),犬張子など現在も郷土玩具として残され各地に散在しているものが数多く収録されている。…

※「江都二色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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