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木室卯雲 きむろ ぼううん

デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

木室卯雲 きむろ-ぼううん

1714-1783 江戸時代中期の戯作(げさく)者,狂歌師。
正徳(しょうとく)4年生まれ。幕臣。俳人慶紀逸(きいつ)の門下。狂歌もたしなみ,幕府高官の目にとまった1首が縁で御広敷番頭(おひろしきばんがしら)に昇進したという。四方赤良(よもの-あから)らの天明狂歌に参加。噺本(はなしぼん)「鹿(か)の子餅(もち)」は,江戸小咄(こばなし)流行の先がけとなった。天明3年6月28日死去。70歳。名は朝濤(ともなみ)。通称は新七郎。別号に白鯉館,山風。狂歌集に「今日歌(きょうか)集」。

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朝日日本歴史人物事典の解説

木室卯雲

没年:天明3.6.28(1783.7.27)
生年:正徳4(1714)
江戸時代の狂歌・噺本作者。名は朝濤,通称は新七郎,別号は白鯉館。幕臣で,初め江戸番町,のちに下谷に住んだ。御徒目付,小普請方,御広敷番頭などを歴任。若いころ,慶紀逸に俳諧を学び,秀国編の『江戸の幸』(1774)には肖像と句が載る。狂歌をたしなみ,明和2(1765)年京都出役の折には栗柯亭木端や九如館鈍永と交わる。その腕前は,明和5年に「色くろくあたまの赤きわれなればばんの頭になりそうなもの」と詠んで,御広敷番の頭に昇進したと伝えられるほどであった。安永5(1776)年に,それまでの狂歌を子息の藍明が集めて『今日歌集』と題して刊行した。四方赤良(大田南畝)が「狂歌をば天井までもひびかせて下谷にすめる翁とはばや」と詠んで卯雲のもとを訪れてからは,天明狂歌壇との交際も始まり,天明3(1783)年の『万載狂歌集』には24首入集している。江戸狂歌以前からの狂歌作者で天明調に参加した大長老といえよう。また,噺本『鹿の子餅』(1772)の作者としても知られている。<参考文献>浜田義一郎「白鯉館卯雲考」(『江戸文芸攷』)

(園田豊)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

世界大百科事典 第2版の解説

きむろぼううん【木室卯雲】

1708‐83(宝永5‐天明3)
白鯉館卯雲ともいう。江戸中期の狂歌作者,噺本作者。本名は木室朝濤(ともなみ),通称は庄七郎,庄左衛門,七左衛門,別号は二鐘亭半山,山風。江戸の幕臣で初め江戸座の俳人として活躍,山風の戯号で噺本《鹿の子餅》を著し江戸小咄流行の端緒を開いた。狂歌も早く明和年中(1764‐72)から作り天明狂歌の元老的存在であった。編著は《譚囊》《奇異珍事録》《今日歌集》等。〈俊成の乗り上げられし身ぶるひに馬の露そふ井手の山吹〉(《徳和歌後万載集》)。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

木室卯雲
きむろぼううん
(1714―1783)

江戸中期の狂歌人。名は朝濤(ともなみ)、通称庄左衛門。別号白鯉館、二鐘亭半山。幕臣。勤務のかたわら慶紀逸(けいきいつ)門下の俳人として知られ、また狂歌を詠んで番頭(ばんがしら)に昇進したことで評判になった。1772年(安永1)からは文筆に活躍し、とくに『鹿子餅(かのこもち)』は江戸小咄(こばなし)の祖とされて噺本(はなしぼん)の流行を興し、また後編『譚嚢(たんのう)』もある。狂歌は家集『今日歌集(きょうかしゅう)』を出してから、四方赤良(よものあから)(蜀山人(しょくさんじん))らの天明(てんめい)狂歌にも参加したし、ほかに随筆『奇異珍事録』や『見た京物語』があって、江戸文学草創期の、幕臣文人の代表的な人物である。
 夜鳴くは珍しからず昼の野へ虫のねごとをきゝにこそゆけ[浜田義一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の木室卯雲の言及

【鹿の子餅】より

…江戸小咄らしいきびきびした咄が多く,〈蜜柑〉〈盗人〉〈借雪隠(かりせつちん)〉〈初夢〉など現在の落語でも聴かれる。作者の山風は,小普請(こぶしん)の幕吏で,木室卯雲(きむろぼううん)として狂歌でも有名である。【野田 寿雄】。…

※「木室卯雲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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