化学辞典 第2版 「沈降平衡法」の解説
沈降平衡法
チンコウヘイコウホウ
sedimentation equilibrium method
超遠心機を用いた高分子物質の分子量測定法の一つ.沈降速度法が高分子の溶液中における流体力学的挙動から分子量を求めるのに対して,本法では,遠心力場における系の平衡状態の熱力学的解析から分子量を求める.高分子溶液を沈降速度法の場合よりは弱い遠心力場に長時間置き,セル内で溶質の沈降と拡散とが平衡になったとき,回転中心からの距離がxの点での濃度をcとすると,分子量Mは次の式で算出される.
ここで,Rは気体定数,Tは絶対温度,ωは回転の角速度,Vは部分比体積,ρは溶媒の密度である.この方法は理論的な基礎が明確であり,部分比体積を除くと超遠心機の実験で得られる測定値のみで分子量が算出される利点をもち,現在では,分子量測定法の標準方法となりつつある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報