精選版 日本国語大辞典 「沙汰付」の意味・読み・例文・類語
さたし‐つけ【沙汰付】
- 〘 名詞 〙
- ① 引き渡すこと。
- [初出の実例]「謹請、国兼運米事。右、任二御書之状一、一々令二沙汰一候了。如レ別給物令二沙汰付一候者也」(出典:陽明文庫所蔵兵範記‐保元三年(1158)五・六・七月紙背(散位藤原盛致書状))
- ② 鎌倉幕府の訴訟制度で、所領に関する訴訟に勝訴した方にその係争地を引き渡す手続をいう。
- [初出の実例]「為二広元奉行一、日来有二其沙汰一、為二沙汰付一レ之所レ被二差遣一也」(出典:吾妻鏡‐文治三年(1187)五月二〇日)
- ③ 南北朝時代の訴訟手続で、論所(ろんしょ)(境界を争っている土地)を現に支配し、またその支配権を有する訴人が、有力な証文を提出して訴訟を提起した時、一応訴えの趣旨にまかせて、論所を守護または使節に命じて訴人に交付させること。
- [初出の実例]「先馳二向其場一、追二出彼輩一、沙二汰付本知行一後、可レ注二進子細一之旨、可レ仰二守護人一焉」(出典:内閣文庫本建武以来追加‐貞和二年(1346)一二月一三日)