国指定史跡ガイド 「河後森城跡」の解説
かごもりじょうあと【河後森城跡】
愛媛県北宇和郡松野町松丸・富岡にある城跡。伊予と土佐の国境地帯の山間部に位置し、四万十(しまんと)川支流の広見川に臨む山塊上にある大規模な城郭跡。本城の標高は171mで、麓との比高差は88m、城跡は南側に開く馬蹄形の尾根線上に、東から古城・本城・新城の各地区が展開し、その内側の風呂ヶ谷に屋敷群が存在する。古城地区は東西約180mの範囲で4つの郭(くるわ)を配し、本城との間を大堀切りで切断している。本城地区は東西約180m、南北約200mの範囲に13の郭を配し、中央部に大堀切りを設け、新城地区は古城地区から南側に延びる約170mの屋根上に10を超える郭群を配している。1991年(平成3)から本格的な発掘調査が開始され、各地区からは15世紀から16世紀にかけての貿易陶磁器・備前焼などの豊富な遺物が出土。本城地区を中心に瓦も出土し、礎石も確認されていることから、瓦葺き建物の存在が推測される。小規模な石垣遺構も検出されており、豊臣系の築城技術が一部導入された可能性が考えられ、予土国境の境目の城として、戦国期から江戸初期にかけて大規模城郭に発展した過程を示す遺構がきわめて良好に残っていることなどから、1997年(平成9)に国の史跡に指定された。JR予土線の松丸駅から徒歩約10分。