朝日日本歴史人物事典 「沼野みね」の解説
沼野みね
生年:明和8.12.11(1772.1.15)
江戸中・後期,紀州(和歌山)藩城下町の質商9代目六兵衛棠円の妻。日記『日知録』を遺した。8代目六兵衛国幹の長女で,正米問屋湯川家から婿養子を迎え,3人の男子を生む。21歳の若妻時代の9カ月間,55歳の寡婦時代の5カ月間の記録から,糸苧よりから始める家族や奉公人の衣類の準備,多くの来客の接待,到来物や贈り物の記帳,夫の帳面付け・照合の手伝い,貸家の管理など,日々の生活状況を知ることができる。若いときから和歌を詠み,夜寝る前に『水滸伝』を読むのを楽しみ,晩年には国学者本居大平の教えを受けている。<著作>『日知録』(『和歌山市史』5巻)<参考文献>林玲子「町家女性の存在形態」(『日本女性史』3巻)
(林玲子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報