日知録(読み)ニッチロク(その他表記)Rì zhī lù

デジタル大辞泉 「日知録」の意味・読み・例文・類語

にっちろく【日知録】

中国、清代の随筆。32巻。顧炎武著。経学史学文学政治社会地理風俗などの分野について、実証的に論じた書。清朝学術の最高水準を示したものとされる。

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精選版 日本国語大辞典 「日知録」の意味・読み・例文・類語

にっちろく【日知録】

  1. 中国の雑家書。三二巻。顧炎武撰。清の康熙三四年(一六九五)刊。初版は八巻。日常の読書研究の間に随筆風に筆録された小論類。経学・政治・史学・道徳・言語学など百般にわたる問題が論じられ、精確な考証による独自な見解、鋭い洞察批判が随所にみられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「日知録」の意味・わかりやすい解説

日知録 (にっちろく)
Rì zhī lù

中国,清の顧炎武の著。32巻。剳記(さつき)とよばれる形の研究論文集。書名は《論語》子張篇の子夏の言葉〈日に其の亡き所を知り〉にとり,読書していて気づいたことを随時随所で書きとめた筆記の,30年の堆積であるが,昔の人が先に同じことを言っていると知ると,その項を削除するという厳格さに成る。顧炎武の学問がみごとに結集していて,のちの清朝の学問,文学に多大の影響を与えたのみならず,現在もおよそ中国の学問,文学の研究に際して必読の書である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日知録」の意味・わかりやすい解説

日知録
にっちろく

中国、清(しん)代初期の思想家顧炎武(こえんぶ)の主著で、学術、政治社会の諸問題を実証的に論じた書。32巻。学術の根本問題と政治社会の重要問題を選択して、古人がいまだ論及せず、後世裨益(ひえき)する項目をたて、事柄軽重によって文の長短を定めている。深い学殖に基づき、実証的、経世致用的見地から、三十余年を経て成ったこの書は、中国の叙述法の一典型であり、清朝学術の最高水準を示すものとされる。

[佐野公治]

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百科事典マイペディア 「日知録」の意味・わかりやすい解説

日知録【にっちろく】

中国の顧炎武が,日ごろの読書研究の成果を経義,政事,世風,礼制など15項目に分類し随筆体で書いたもの。32巻。1676年の自序があり,1695年弟子により刊行。事柄ごとに証拠を広く古典に求め,経験的な事物に照らし,帰納的に原則を把握(はあく)。考証の博大,精密さのゆえに考証学の祖とされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日知録」の意味・わかりやすい解説

日知録
にっちろく
Ri-zhi-lu

中国,清初の学者顧炎武の主著。 32巻。康煕 34 (1695) 年刊。中国の古典,歴史,制度,風俗,詩歌,思想その他の文化現象について考証,評論したもの。三十余年にわたり日々知りえたところを記しており,考証が正確で,識見が広く傑出していることが称揚され,清代考証学の学風を興したものとされている。このほか『日知録之余』 (4巻) がある。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「日知録」の解説

『日知録』(にっちろく)

清の顧炎武(こえんぶ)の著作。32巻。1670年に初版が刊行され,その後増補された。平生読書研究の間に随時筆録しておいたもので,経学,史学,文学,政治,経済,社会,地理など多方面に及び,随所に精密な考証と優れた識見がみられる。

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旺文社世界史事典 三訂版 「日知録」の解説

日知録
にっちろく

清の考証学の創始者顧炎武 (こえんぶ) の著書
研究のための備忘録として随筆体で書きとめたもの。内容の広範な点,考証の精密なこと,卓越した識見などが注目され,現在でも中国の歴史・文学研究の必読書といわれる。

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