法論理学(読み)ほうろんりがく(その他表記)legal logic

日本大百科全書(ニッポニカ) 「法論理学」の意味・わかりやすい解説

法論理学
ほうろんりがく
legal logic

法の領域応用された現代論理学をいう。現代論理学が記号の使用によって思考の分析の用具としてきわめて有効なものとなっているため、各領域でその応用がみられるが、法領域への応用は1950年のU・クルークの『法論理学』に始まる。今日では文献数も数多い。法論理学の目的は、法の領域における諸思考、すなわち法自体の思考(法自体が思考構成体である)、および法学や法思想の思考などの論理構造を解明するとともに、形式的に正しい思考を実現することにある。適用する現代論理学の方法に関しては、法論理学の学界において本質的な意見の対立がある。すなわち、法の規範としての特性にかんがみて規範のための特別の論理の構築を主張する立場と、自然科学に妥当する在来の数学的論理学の、法への適用を推し進める立場とである。法論理学は広義の法哲学の一部門と考えられるが、とくに法学方法論と密接に関連する。

[吉野 一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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