波多岐神社(読み)はたきじんじや

日本歴史地名大系 「波多岐神社」の解説

波多岐神社
はたきじんじや

[現在地名]上野市土橋 東出

祭神大鷦命。「延喜式」神名帳に「波太伎神社」と記す式内社。伊賀国三宮と称され、旧郷社。江戸時代、当社に一体化した宇都可うつか神社も式内社(後述の通山明神と論社)で、「三代実録」貞観一五年(八七三)九月二七日条によれば「正六位宇豆賀神」が従五位下に進階されている(現在、明治に諸社を合祀した境内社宇都可神社がある)近世の地誌などには波多岐神社・三宮・宇都可神社が近隣諸村に記され、これを年代順にみると神社の移動・合祀などが推察される。

「三国地志」は「延長風土記」に「阿拝郡国府山有神、号波太岐社、所祭仁徳天皇」、「准后伊賀記」に「国府湊三宮神領」、室町末期の「永閑伊賀名所記」に「阿拝郡三宮、国府のあたりに伝るよし」と記すといい、近世初期には国府こう山の神が波多岐社で国府の近くにあったとの伝承を伝える。国府山を江戸中期の「三国地志」は土橋つちはし村とするが、国府の湊こうのみなと東条ひがしじよう村の南、古代国府はその南の印代いじろ村辺りに推定されるなどのことから、近世初期までいわれた「国府山」と同一とは限らない。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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