波野田村(読み)はのだむら

日本歴史地名大系 「波野田村」の解説

波野田村
はのだむら

[現在地名]上野市岩倉いわくら

ひがし村の西。古くは君小屋きみがこや村などとよばれ、文化六年(一八〇九)波野田村と改められた。長田ながた(木津川)服部はつとり川の落合から下の峡流に南面し、「河岸左右の汀には岩根の床をこごしきて岩より巌にかさなる」(茅栗草子)と形容される河倉かわくらは、筒井定次遊興の地と伝える。当村は次の伝説を語り伝える。桓武天皇の皇女伊登内親王が従者を伴い遊行の途次、当地で難病にかかったが、当村青田あおた山の薬草により平癒した。従者の後裔は内親王護持の如意輪観音を本地仏に、弘仁年中(八一〇―八二四)堂上どうじよう円福えんぷく寺を建立、かつ大和春日大明神を南浦みなみうら(現稲浦)に勧請した。伊登内親王の後裔と称する一八戸は十八講を組織し、明治維新後まで春日神社の社務などを管掌した。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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