朝日日本歴史人物事典 「津下四郎左衛門」の解説
津下四郎左衛門
生年:嘉永1(1848)
幕末維新期の尊攘派浪士。岡山藩領の庄屋の子に生まれ,明治1(1868)年家老伊木忠澄に従って山陽道鎮撫作戦に参加。のち上洛。明治2年1月5日,上田立夫,鹿島又之允,前岡力雄らと共に参与横井小楠を暗殺。捕縛され翌年斬に処せられた。年23歳。大正2(1913)年遺子津下鹿太が森鴎外を訪れて父の履歴を語った。鴎外はこれをもとに史伝『津下四郎左衛門』を書き,そのなかで鹿太に「私の父は善人である。気節を重んじた人である。勤王家である。……その半面において,私は父が時勢を洞察することの出来ぬ昧者であった,愚であったと云うことを認めずにはいられない」と語らせている。
(井上勲)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報