信夫(読み)シノブ

デジタル大辞泉 「信夫」の意味・読み・例文・類語

しのぶ【信夫】

福島県北方にあった旧郡名。現在は福島市一部上代、今の伊達だて郡とともに信夫国を形成していた。

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精選版 日本国語大辞典 「信夫」の意味・読み・例文・類語

しのぶ【信夫】

  1. [ 一 ] 福島県の旧郡名。現在の福島市にあたる。上代、伊達郡と共に信夫国を形成。大化改新のときに陸奥国の郡となり、明治元年一八六八陸奥国の分割により岩代国に属した。
  2. [ 二 ] 謡曲。四番目物。廃曲。作者不詳。信夫の太郎・次郎の兄弟は、京都から故郷へ帰る途中越後の国直井の津で、奥州へゆくという人買船にだまされて乗船する。沖の島で軟禁された兄弟はあるじの松崎兵衛の下で塩やきをするが、たまたま狩に来た旧知板橋の某に助けられる。

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改訂新版 世界大百科事典 「信夫」の意味・わかりやすい解説

信夫 (しのぶ)

歌枕。福島市にある。《和名抄》に陸奥国信夫郡があり〈志乃不〉と訓を付す。《古今集》巻十四には源融の〈陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに乱れむと思ふ我ならなくに〉の歌がある。〈しのぶもぢずり(忍捩摺)〉は信夫郡の名産で,石に草木をこすりつけ,布にその色を移した染物。市内山口地区に文字摺石という石があり,芭蕉も《おくのほそ道》の紀行で訪ね,〈早苗とる手もとや昔しのぶ摺〉の句を詠んだ。ただし,この石だけに特定できず,やや疑問が残る。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「信夫」の意味・わかりやすい解説

信夫
しのぶ

福島県北部の旧国名。5~6世紀には一国をなし信夫国造 (くにのみやつこ) がおかれた。大化改新で郡となり,その後伊達郡を分離。 16世紀頃は交通の要地で,福島盆地南西部の大部分を占めていた。 1968年全域が福島市に編入された。

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