流体潤滑(読み)りゅうたいじゅんかつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「流体潤滑」の意味・わかりやすい解説

流体潤滑
りゅうたいじゅんかつ
fluid lubrication

摩擦部分に十分厚い潤滑膜 (一般には油膜) が形成されて,2面が直接接触せずに,離れた状態で潤滑されることをいう。摩擦損失摩耗が少い理想的な潤滑で,このような摩擦状態を流体摩擦と呼んでいる。すべり軸受の場合には,潤滑油粘性係数η,軸の単位時間あたりの回転数 N,軸受平均面圧 P関数となり,図のような摩擦特性を描く。C点より右の範囲が流体潤滑で,η,NPの各変動に対して常に平衡状態 (たとえばL点) に戻ろうとする有利な特性をもっている。 (→境界潤滑 )

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化学辞典 第2版 「流体潤滑」の解説

流体潤滑
リュウタイジュンカツ
fluid lubrication

流体力学潤滑(hydrodynamic lubrication)ともいう.運動する2固体表面が,連続する潤滑油膜で完全に分離されている潤滑状態をいう.運動に対する抵抗は潤滑油そのものの内部摩擦,すなわち,粘度のみによるのできわめて小さく,ここでは潤滑油の油性などの界面化学的性質はまったく無関係となり,潤滑状態としてはもっとも理想的なものである.潤滑油の粘度が高すぎると,2面の接触防止には有効だが,摩擦が大きくなり,省エネルギーの面からは好ましくない.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の流体潤滑の言及

【軸受】より

…このため摩擦,摩耗が非常に小さくなる。この状態を流体潤滑という。しかし,軸の始動停止時,あるいは低速高荷重の軸受では油膜は十分に発達せず,軸と軸受は接触してしまう。…

【潤滑】より

…しかし,摩擦に関する研究の記録が残っているのはルネサンス以降であり,さらに潤滑の問題が科学的に取り扱われるようになったのは産業革命以後のことである。例えば流体潤滑理論の基礎が築かれたのは19世紀末であり,摩擦や境界潤滑の本質が理解されるようになったのは20世紀に入ってからである。摩擦,潤滑の研究は近年とくに盛んになっており,これらの問題を総合的に扱う学問分野をトライボロジーtribologyと呼ぶようになっている。…

※「流体潤滑」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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