海人の刈藻(読み)アマノカルモ

デジタル大辞泉 「海人の刈藻」の意味・読み・例文・類語

あまのかるも【海人の刈藻】

平安末期から鎌倉初期にかけて成立した物語。4巻。作者不詳。権大納言藤壺女御との悲恋を描く。
大田垣蓮月おおたがきれんげつ歌集。明治3年(1870)発表。閑雅な詩境が平明に歌われている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「海人の刈藻」の意味・わかりやすい解説

海人の刈藻
あまのかるも

鎌倉後期に改作された物語。4巻。原作は平安末期に成立したらしく、『無名草子(むみょうぞうし)』『風葉和歌集』にその名がみえるが、散佚した。故兵部卿(ひょうぶきょう)の宮の次男三位(さんみ)中将が藤壺(ふじつぼ)の女御(にょうご)(故按察使大納言(あぜちだいなごん)の三の君)に密通し、男君が生まれるが、ふたたび会うこともかなわず、長谷寺(はせでら)での夢想にまかせて出家し、即身成仏するという悲恋遁世譚(とんせいたん)。兄弟姉妹の助け合いや他家との交流など、貴族の生活の広がりのなかで、幾組かの恋愛、結婚を年代記風に描く。

[三角洋一]

『宮田和一郎著『校註あまのかるも』(1948・養徳社)』『伊地知鉄男解題『桂宮本叢書 17 物語3』(1956・養徳社)』

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世界大百科事典(旧版)内の海人の刈藻の言及

【大田垣蓮月】より

…陶器も焼きこれに自分の歌を浮き出させた蓮月焼がある。家集に《海人の刈藻(あまのかるも)》があり,村上素道編《蓮月全集》がある。〈山ざとは松の声のみ聞きなれてかぜふかぬ日はさびしかりけり〉(《海人の刈藻》)。…

※「海人の刈藻」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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