消え返る(読み)キエカエル

デジタル大辞泉 「消え返る」の意味・読み・例文・類語

きえ‐かえ・る〔‐かへる〕【消え返る】

[動ラ四]
《「返る」は、すっかり…する意》すっかり消えてなくなる。また、たちまち消えてしまう。
「定めなく―・りつる露よりも空頼そらたのめする我は何なり」〈かげろふ・上〉
《「返る」は、もとに戻る意》水の泡や霜などが消えてはまたできる。
「―・り岩間に迷ふ水の泡のしばし宿借る薄氷かな」〈新古今・冬〉
死ぬほどに思いつめる。
「若き人々の、なだらかに物聞ゆべきもなく、―・り」〈橋姫

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精選版 日本国語大辞典 「消え返る」の意味・読み・例文・類語

きえ‐かえ・る‥かへる【消返】

  1. 〘 自動詞 ラ行四段活用 〙
  2. ( 「かえる」は程度のはなはだしい意 ) 物事がすっかり消えてなくなる。たちまち消えてしまう。
    1. [初出の実例]「さだめなくきえかへりつる露よりもそらたのめするわれはなになり」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
  3. 感情が迫って、心が消え入りそうなほど思いつめる。正常な心地がなくなる。
    1. [初出の実例]「わがやどのきくのかきねに置くしものきえかへりてぞこひしかりける〈紀友則〉」(出典:古今和歌集(905‐914)恋二・五六四)
  4. ( 「かえる」は繰り返し行なわれる意 ) 霜や水のあわなどが、消えてはまたできる。物思いをくり返すことにもいう。
    1. [初出の実例]「きえかへりそめこし物を同じ野の花に置くとも何か見ゆべき」(出典:宇津保物語(970‐999頃)沖つ白浪)

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