デジタル大辞泉
「心地」の意味・読み・例文・類語
しん‐じ〔‐ヂ〕【心地】
《「しんち」とも》仏語。
1 心を大地にたとえていった語。
2 戒のこと。心にこうしようと思う意業であるのでいう。
3 菩薩の修行の各階位における心のこと。
4 禅宗で、心の本性、すなわち心性をいう。
しん‐じ〔‐ヂ〕【心地/芯地】
帯や洋服の襟などの芯にする布地。麻芯・毛芯・接着芯など多種ある。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ここ‐ち【心地】
- 〘 名詞 〙
- ① 心持。気持。気分。
- [初出の実例]「あれも戦はで、心ちただ痴(し)れに痴れて、守り合へり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「恋しきここちしばし休めて、またも恋ふる力にせんとなるべし」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月五日)
- 「されど、人をば知らじ、ただ心ちにさおぼゆるなり」(出典:枕草子(10C終)一九五)
- ② ( 修飾語を受け「…する」の形で ) …のような感じ。様子。有様。風情。気色(けしき)。けはい。
- [初出の実例]「絵にかきたる物の姫君の心ちすれば、口おほひを引きやりて物語の女の心ちもし給へるかなといふに」(出典:紫式部日記(1010頃か)寛弘五年八月二六日)
- 「ただ平家の人々は、いつも氷にとぢこめられたる心地して、寒苦鳥にことならず」(出典:平家物語(13C前)九)
- ③ 考え。思慮分別。心構え。用意。心ばせ。
- [初出の実例]「入りてけりと、心地もなくて」(出典:落窪物語(10C後)二)
- 「たどらむ人は、心得つべけれど、まだいと若き心地に、〈略〉えしも思わかず」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
- ④ 魂。精神。こころ。
- [初出の実例]「心ちに思ふことなれば、くやしと思ひながら、とかく思ひ乱るるに」(出典:平中物語(965頃)三八)
- 「いともいとも恥かしくつつましかるべきものかなと思ふに、すずろに心ちもあくがれにけり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)東屋)
- ⑤ 気分の悪いこと。病気。やまい。
- [初出の実例]「やまひにわづらひ侍りける秋、ここちのたのもしげなくおぼえければ」(出典:古今和歌集(905‐914)哀傷・八五九・詞書)
- 「中納言忽(たちま)ちに御心ちもやみてめでたし」(出典:落窪物語(10C後)三)
- ⑥ なかに含むこと。意味。わけ。
- [初出の実例]「節は、ふし也。月々にも、ふしのある心地也」(出典:名語記(1275)六)
しん‐じ‥ヂ【心地】
- 〘 名詞 〙 ( 「しんち」とも ) 仏語。
- ① ( 戒は心をよりどころとするところから ) 戒のこと。〔梵網経‐下〕
- ② 心をよりどころとして菩薩は修行するところから、菩薩の修行階位におけるこころのこと。単にこころをもいう。
- [初出の実例]「夫和歌者、託二其根於心地一、発二其華於詞林一者也」(出典:古今和歌集(905‐914)真名序)
- 「喜びも無く憂もなく心地(シンチ)寂静ならば、自然に禅門に相応ずべきにや」(出典:米沢本沙石集(1283)一)
- [その他の文献]〔杜甫‐謁文公上方詩〕
- ③ 禅宗で、各自の本心、心性をいう。
- [初出の実例]「おのおの心地を開明する手をさづけずといふことなし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)弁道話)
しん‐じ‥ヂ【心地・芯地】
- 〘 名詞 〙 帯、襟(えり)、洋服などの心(しん)にして形の崩れないようにする布地。綿・麻・毛などの織布、合成繊維、不織布などの材質があり、用途によって選んで用いる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「心地」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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心地
しんじ
仏教用語。 (1) 心の地。戒を心地という。戒は大地がすべてのものを支えるように人の心を支えるものであるから。 (2) 菩薩の十信ないし十地の五十心を総称して心地という。心の悟りへの発展の段階のこと。 (3) 心即地すなわち心という地。大地が五穀などを生じるように,衆生の心は世間,出世間の一切の法を生じるから。 (4) 密教で修法の際にそこで修法する大壇の面を心地と観じること。大壇上で修法されるに応じて心という地面の上に真理の世界が建立されるから。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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