深谷保(読み)ふかやほ

日本歴史地名大系 「深谷保」の解説

深谷保
ふかやほ

平安末期に桃生郡の南半部に設置されたと考えられる国衙領の保。当初は「深江」と記された。「吾妻鏡」建久元年(一一九〇)一〇月五日条によれば、源頼朝は、文治五年(一一八九)の奥州合戦の結果陸奥国の諸郡郷に新たに置かれた地頭らに対し、「深田」などの郡郷に設置されていた国司厩佃(国司の馬を飼育するための直轄田)に関しては、奥州総奉行留守家景や在庁の命令に従って先例どおりに行えと定めている。この「深田」は同書吉川家本には「深江」とある。現名取市新宮しんぐう寺文殊堂の寛喜二年(一二三〇)閏正月二七日の一切経奥書に「奥州(ママ)国深江保瓦山別処」とみえ、瓦山かわらやま河南かなん須江すえ字瓦山に比定される。

「伊達正統世次考」によれば、文治五年長江義景が陸奥国「深谷保」を賜って小野おの(現鳴瀬町)に住したという(天文五年六月上旬条)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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