日本大百科全書(ニッポニカ) 「混合関税」の意味・わかりやすい解説
混合関税
こんごうかんぜい
mixed tariff
関税額を算定する場合、輸入品の価格を基礎とする従価税と、輸入品の数量を基礎とする従量税とがあるが、その両者を組み合わせた関税を混合関税といい、選択関税と複合関税の二つに分けられる。
選択関税は同一の商品に対して従価税と従量税の両方を定め、それらのうち、いずれか高いほうまたは低いほうを賦課するもので従価従量選択税ともいう。たとえば高額のほうが課せられる場合、価格がある一定の値以下に下落したときには従量税が、逆に一定の値以上に騰貴したときには従価税が課せられることとなり、輸入は全体として抑制され、関税の保護機能がより有効に作用する。一方、複合関税は、従量税と従価税とを併用するもので従価従量併用税ともいい、普通、従量税に従価税をプラスして税額が決められる。価格が高くなるほど相対的に税率が低くなる従量税の欠点を、一定の従価税率を加えることで補おうとするものである。これは保護の効果を促進することになり、国内産業をとくに強く保護する必要がある場合に利用される。日本では複合関税の純粋な適用例はない。
[秋山憲治]