滝仙寺(読み)りゆうせんじ

日本歴史地名大系 「滝仙寺」の解説

滝仙寺
りゆうせんじ

[現在地名]青山町滝

たき集落の東、滝橋を渡って少し登った山腹にある。真言宗豊山派、山号南嶽山。本尊阿弥陀如来。縁起によれば天正七年(一五七九)北畠(織田)信雄軍を迎え撃ち戦死をしたこの地の豪族滝三河守保義の実弟宥海の開基と伝える。宥海はうし峰岩屋みねいわや(現奈良県山添村)で修法していたが兄の死を知り故郷で兄の跡を継いだが、翌々年織田信長軍に攻められ牛ヶ峰に逃れた。本能寺の変後、阿弥陀如来像・大威徳明王画像・五鈷杵などを持帰り、七仏薬師院跡に一宇を建て福寿山阿弥陀院滝泉寺と名付けた。藤堂高虎入国の際滝仙寺と改め、宝永二年(一七〇五)農耕地を妨げるというので村の中央から現在地に移転し、山号を改めたという。寺の傍らにあった桜の大樹は名高く、「永保記事略」元禄一七年(一七〇四)三月一三日四代藩主藤堂高睦も見物しているが、江戸末期に書かれた「標註伊賀名所記」(上野市立図書館蔵)には記載なく、いつ頃かなくなったと思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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