日本大百科全書(ニッポニカ) 「漂流物」の意味・わかりやすい解説
漂流物
ひょうりゅうぶつ
人の占有を離れて水上を漂い流れているか、沿岸や川岸に漂い着いた物。人の占有を離れた物である点は遺失物と同じであるが、その法的な取扱いは遺失物法ではなく水難救護法による。同法には、拾得者の市町村長に対する物件引渡しの義務、所有権者への引渡し、拾得者への報酬、拾得者の所有権取得などが規定されている。漂流物に対して、沈没した物を沈没品という。水難救護法は、漂流物と沈没品とを同時に規定しているが、公告または告知の期間、所有権者が引渡しを受ける際に市町村長に納付すべき金額、拾得者への報酬の額につき、漂流物と沈没品とを異なって扱っている(水難救護法27条1項・3項)。沈没品については、漂流物についてよりも長期、高割合による算定が定められている。なお、漂流物ではあっても、木材は前記の点につき特別の取扱いがなされている(同法27条2項)。
[高橋康之・野澤正充]