遭難船舶の救護、漂流物および沈没品の拾得に関すること、ならびに市町村長の救護義務と権限などを定めた法律。明治32年法律第95号。
〔1〕遭難船舶の発見者に通報の義務を課し、当該船舶の救護事務は最初に認知した市町村長が行う。(1)救護のため人の招集、輸送手段の徴用、土地の使用をすることができる。(2)遭難物件の隠匿等の捜索および押収、救護妨害者、不正行為者の退去または拘束等を行うことができる。(3)救護物件またはその売却代金の保管、遭難報告の受理および事実の調査を行うことができる。救護関係者への救護費用は、船舶所有者または船長から市町村長に納付した救護費用から支払い、救護が不成功の場合または救護費用が不足するときは国が支弁する。
〔2〕市町村長は漂流物、沈没物を受領のうえ、引渡しのため公告し、6か月経過後も所有者が不明のときは、公告、取除きおよび保管等の費用を受領して拾得者に引き渡す。拾得者が請求しないときは、公売して、その代金より諸費用を支払い、残余金は国庫に納入し、不足のときは国が補助する。警察官は市町村長を助けて救護事務にあたり、必要により代行する。
[新谷文雄]
遭難船舶の陸上的施設による救護,漂流物および沈没品の拾得に関する法律。1899年公布。水難一般を対象とするものではない。遭難船舶の救護事務を担当するのは最初に事件を認知した市町村長である。警察官は遭難船舶のあることを市町村長に通知し,これを助けることを任務とする。救護は原則として船長の意に反してはなしえない。市町村長は救護のために人を招集し,船舶車馬その他の物件を徴用し,または他人の所有地を使用することができる。これら救護に関係した者は市町村長より救護費用の支給を受ける。船長または船舶所有者は,遭難船舶その他の物件の返還を求めるには上記の救護費用を納付しなければならない。漂流物または沈没品を拾得した者は市町村長に引き渡さなければならないが,一定の報酬を得る。6ヵ月以内に所有者が引き取らなければ拾得者は一定の費用を支払って拾得品の所有権を取得することができる。
→海難
執筆者:阿部 泰隆
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…日本では海上保安庁が専門機関として多数の巡視船艇や航空機を全国の要所に配備しており,その業務の一つとして海難の際の人命救助に従事している。そのほかに〈水難救護法〉によって市町村長や警察官に救助義務が課せられている。民間組織としては日本水難救済会があり,沿岸各地に計約500の支所や救難所を設けて人命救助に備えている。…
※「水難救護法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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