火星シリーズ(読み)かせいしりーず(その他表記)Mars Cycle

日本大百科全書(ニッポニカ) 「火星シリーズ」の意味・わかりやすい解説

火星シリーズ
かせいしりーず
Mars Cycle

アメリカの作家E・R・バローズの代表的な全11巻のSF。第1巻『火星プリンセス』(1912)は彼の処女作で、後年のスペース・オペラやヒロイック・ファンタジーの原点となった歴史的作品。南軍の騎兵大尉ジョン・カーターはある夜アリゾナの洞窟(どうくつ)から心霊旅行の形で火星に運ばれた。地球よりも格段に優れた科学力を背景に、6本肢(あし)の緑色巨人や、地球人そっくりの赤色人、白色人などが都市国家を形成して群雄割拠するバルスーム(火星)。その渦中に飛び込んだ快男子カーターは悪党や怪獣相手に縦横無尽の大活躍をして火星絶滅の危機を救い、絶世の美女、ヘリウム帝国のプリンセスと結ばれる。第1巻から第3巻までは三部作構成をとり、4巻以降は各巻が独立したストーリーである。念力で出現する幻の弓兵隊、頭と胴体がそれぞれ別個の生物のバントゥーム族などが登場する奇抜な発想は、半世紀以上たった今日でも色あせない。

厚木 淳]

『厚木淳訳『火星シリーズ』全11冊(創元推理文庫)』『リチャード・A・ルポフ著、厚木淳訳『バルスーム――バローズの火星幻想』(1982・東京創元社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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