念力(読み)ネンリキ

デジタル大辞泉 「念力」の意味・読み・例文・類語

ねん‐りき【念力】

一心に思うことによって得られる力。精神の集中による力。「思う念力岩をも通す」
精神の力で対象に物理的作用を及ぼすことができるという、超自然的な能力。サイコキネシス
[類語]神通力超能力魔力千里眼テレパシー

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精選版 日本国語大辞典 「念力」の意味・読み・例文・類語

ねん‐りき【念力】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 仏語。三十七道品の一つである五力の一つ。憶念がもたらす力。憶念することで得られる、他の障害に抗することができる力。
    1. [初出の実例]「念力は、拽人鼻孔太煞人なり。このゆゑに鼻孔拽人なり、抛玉引玉なり。抛甎引甎なり」(出典:正法眼蔵(1231‐53)三十七品菩提分法)
  3. 転じて、仏神の加護や利益を求めて熱心に祈念するその祈りの強さ。
    1. [初出の実例]「知依不退之念力、得無漏之寿命者乎」(出典:本朝文粋(1060頃)一一・太上法皇賀玄宗法師八十齢和歌序〈紀長谷雄〉)
    2. 「心府肝胆を砕て祈申させ給ひけり。〈略〉彼念力(ネンリキ)に答へて、山王七社、官軍に入かはらせ給ひけるにや、いく程なく責落さる」(出典:金刀比羅本保元(1220頃か)中)
  4. 一心に事に当たろうとする、集中された精神の力。くじけることのない意志の強さ。
    1. [初出の実例]「かくて兄弟念力のその期にありて忽ちに親の敵を討つことも」(出典:車屋本謡曲・放下僧(1464頃))
  5. 精神による遠隔作用。たとえば、物体に触れないで、精神の作用だけで、物体を動かす力。
    1. [初出の実例]「やまといふ山に、かすみのかからぬやまもなし。にょにんとなって、をっとのねんりきのかからぬにょにんもなし」(出典:説経節・説経苅萱(1631)中)

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改訂新版 世界大百科事典 「念力」の意味・わかりやすい解説

念力 (ねんりき)
psychokinesis

超常現象の一つ。念動,サイコキネシスともいい,PKと略す。超能力によって,物理的手段を用いないで,物理的効果を引き起こす現象。たとえば,心に念じてさいころの目を思いどおりに出すとか,思念を集中してスプーンを曲げたりすること。また,何もないのに突然大きな音を起こしたり,止まっている時計の針を動き出させたりすることもある。このような能力は,児童にわりに多いが,なかには青年時代まで持ち続けている人もある。ユングはこれを,〈超心理的な外在化作用〉とよんだが,J.B.ライン以後,念力とよばれるようになった。現在の超心理学の考え方では,この現象は,熱力学の第2法則(エントロピー増大の法則)を破る事例と考えられている。つまり,エネルギーの流れ方が通常の物理法則に従わず,まれに逆に流れる場合がある,といってもよい。物理学では,時間はエントロピー増大の方向に向かって流れると定義されているが,この点からいえば,時間が未来から過去へ逆流することになる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「念力」の意味・わかりやすい解説

念力
ねんりき
psychokinesis

人の意志あるいは意図によって,物理的な媒介を経ずに物質に対して及ぼすと考えられる作用ないし力をさす。略して PKとも呼ばれる。念力には次の種類がある。 (1) 直接移動 目の前にある物体を移動させる。 (2) 身体移動 自身の体に作用させて,遠方まで短時間で行くことができる。 (3) 念動 遠隔の対象を動かす。 (4) 念写 心理を写真乾板に写し出す。これらの心理的物理現象と超感覚的知覚とを総称してサイ現象という。また PK実験では,通常物理的対象としてさいころが用いられ,被験者には,その特定の目を出現させるような構えあるいは意図をとらせて,その意図と結果との間の関係が調べられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「念力」の意味・わかりやすい解説

念力
ねんりき

じっと心に思い込むことにより得られる力のこと。通常の能力以上、あるいは超常的な効果を生じると考えられている。仏典のなかでは「五力」(信力、精進力、念力、定力(じょうりき)、智力(ちりき))の一つとされ、また「念力岩をも徹(とお)す」というたとえなどで知られる。超心理学において、psychokinesisの訳として「念力」の語を用いている。

[大谷宗司]

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普及版 字通 「念力」の読み・字形・画数・意味

【念力】ねんりき

一念の力。

字通「念」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の念力の言及

【力】より

…例えば新プラトン主義では,大宇宙(マクロコスモス)と小宇宙(ミクロコスモス)の対応,そのなかでの〈流出emanatio〉を使っての占星術的支配力(逆に小宇宙たる人間の側からみれば,それは〈流入influentia〉すなわち〈影響力〉ということになる)が受け入れられており,それらは〈隠れたoccult〉ものであったからである。しかし,そうした力の存在への信頼は,人間や生物に特有とされる生命力の転化でもある〈念力〉などと並んで,今日でさえ一つの知識領域を構成する。そうしたもののなかから力に関する新しい学問的概念が将来生まれないとはかぎらない。…

【超心理学】より

…これに対して,新しい立場から研究する方法を考えたのは,アメリカのラインである。ラインはまず,問題の多い心霊現象についてはとりあげず,研究の対象をESP念力(PK)の二つだけに限定した。ESP研究の手段としては,特殊な図形(星,十字,波,円,正方形)を描いたESPカードを用い,念力の研究にはさいころを用いた。…

【予知】より

…そこでESPカードにより予知の存在を確認するための実験を行ったところ,偶然では考えられないほどの高得点が得られ,ラインは予知の存在を主張した。その後も予知に関するさまざまな実験が行われ,今日に至っているが,統計的に意味のある結果が得られた場合でも,予知に代わる仮説として,念力により,予知仮説を支持する方向へ結果が偏移したとする仮説がたえずつきまとい,予知現象の存在が必ずしも実験的に証明されているとは言いがたい。実験的研究以外にも,予知夢など,偶発的な予知的現象の研究がある。…

※「念力」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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