日本大百科全書(ニッポニカ) 「灰色砂漠土」の意味・わかりやすい解説
灰色砂漠土
はいいろさばくど
gray desert soil
乾燥地域の土壌は地表の乾燥度と植被の程度の違いでいくつかに分類されているが、灰色砂漠土はまばらな草本植生のある亜熱帯、温帯、冷帯の乾燥気候のもとに広く分布する。表土に若干の腐植が生じているため灰色を呈するが、塩基の溶脱はほとんどみられず、炭酸カルシウムの集積が表土の下部におこっている。灰色土あるいはシェローゼムとよばれるものと同種で、砂漠土と栗(くり)色土の中間を占める土壌型と考えられ、成帯性分布を示している。ユーラシアの内陸部、北アフリカ、アラビア半島、オーストラリアの乾燥地域に、それらの中心にある砂漠を取り囲む形で分布し、大規模な灌漑(かんがい)水路の建設によって開発された中央アジアなどでは、綿花の栽培が行われている。
[浅海重夫]