日本大百科全書(ニッポニカ) 「炭化ケイ素樹脂」の意味・わかりやすい解説
炭化ケイ素樹脂
たんかけいそじゅし
silicon carbide resin
有機金属化合物である炭化ケイ素SiCを主成分とする耐熱性プラスチックをいう。炭化ケイ素は無色の六方晶系ないし立方晶系の結晶で、融点(分解溶融点)は非常に高く、硬さもダイヤモンド、炭化ホウ素に続いて硬い。
炭化ケイ素樹脂は、高純度炭化ケイ素粉末にアルミナや酸化鉄あるいはホウ素を少量添加して、高温でホットプレスすることによって、1300℃を超える高温域でも強度の低下が少ない緻密(ちみつ)で曲げ強さが1平方ミリメートル当り95キログラムにも達する焼結体が得られ、ガスタービン用ブレードなどの耐熱性構造材料として注目されている。新しい用途として半導体製造用の各種ジグ(治具)がある。また炭化ケイ素に普通の粘土を少量結合材として加えて焼成した炭化ケイ素れんがsilicon carbide brickは、熱伝導性、機械強度などが大きく、製鉄、製鋼用のれんがや不定形耐火物などに用いられる。
1960年代以降、有機金属ポリマーから連続炭化ケイ素繊維がつくられている。FRM(繊維強化金属)用の繊維として注目されている。
[垣内 弘]
『シーエムシー編・刊『炭化ケイ素材料――新しい合成法と応用』(1985)』