炭化ケイ素繊維(読み)たんかけいそせんい(英語表記)silicon carbide fiber

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「炭化ケイ素繊維」の意味・わかりやすい解説

炭化ケイ素繊維
たんかけいそせんい
silicon carbide fibre

四塩化ケイ素炭化水素または四塩化炭素とを,あるいは有機ケイ素化合物を 1300~1600℃の温度範囲で気相分解することによって得られる直径 10μ程度の短繊維 (ホイスカー) 。しかし最近では,ポリカルボシランをつくり,これを紡糸してフィラメントをつくり,のち焼成して炭化ケイ素フィラメントがつくられるようになった。引張り強度が大きく,耐熱性 (1000℃程度) にもきわめてすぐれており,織布,不織布などの形状で,繊維強化金属 (FRM) ,繊維強化プラスチック (FRP) などの複合材料および自動車工業,宇宙航空機関連の構造部品材として利用されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「炭化ケイ素繊維」の意味・わかりやすい解説

炭化ケイ素繊維
たんかけいそせんい
silicon carbide fiber

炭素とケイ素を含有する有機金属化合物から重合、紡糸、焼成のプロセスでつくられる合成繊維一種。1975年(昭和50)東北大学の矢島聖使(1923―1981)らが開発。炭化ケイ素繊維は高温度での機械的強度が優れ、さらに化学的にも安定であるために、熱遮蔽(しゃへい)材料、高温ガスや溶融金属の濾布(ろふ)としてそのまま使われるが、またこの繊維と、エポキシ樹脂マトリックス母体)とした強化複合材料としてスポーツ用品に、またポリイミド樹脂をマトリックスとした宇宙航空関係器材として用いられている。

垣内 弘]


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