日本大百科全書(ニッポニカ) 「無記名株式」の意味・わかりやすい解説
無記名株式
むきめいかぶしき
株主の氏名が記載されていない株券(無記名株券)に表章される株式。記名株式に対する。1990年(平成2)の商法改正以前は、記名株券を原則とし、定款で定めれば無記名株券を発行することができた。しかし、両者には権利の内容に差異はないにもかかわらず、無記名株主は会社に対し株券を供託しないとその権利を行使できず、また、会社から株主に対する通知・催告は無記名株主に対しては公告をもって行われて権利行使の機会を逸することが多いなど、無記名株主のほうが不便であった。ゆえに、無記名株式はほとんど利用されていなかった。そこで、1990年の商法改正により、無記名株式を廃止し、記名株式に一本化した。
[戸田修三・福原紀彦]