焦がす(読み)コガス

デジタル大辞泉 「焦がす」の意味・読み・例文・類語

こが・す【焦がす】

[動サ五(四)]
火に当てて焼いたり熱を加えたりして物の表面を黒くする。焦げた状態にする。「ごはんを―・す」
心を悩ます。苦悩する。「身を―・す」「胸を―・す」
薫物たきものの煙でくすぶらせてにおいをつける。
「白き扇の、いたう―・したるを」〈夕顔
[類語]焦げる焦げ付く焼け焦げ焼け焦がし黒焦げ生焼け

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「焦がす」の意味・読み・例文・類語

こが・す【焦】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 火や日で焼いて黒くする。こげた状態にする。
    1. [初出の実例]「こがさぬものから、よくこがね色にあぶれ」(出典:薫集類抄(1165頃か)下)
    2. 「奥羽象潟(きさがた)の暑き日に面をこがし」(出典:俳諧・幻住菴記(1690頃))
  3. 匂いをつけるために薫物(たきもの)の煙でくすぶらせる。
    1. [初出の実例]「白き扇のいたうこがしたるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
  4. 心を苦しめ悩ます。苦悶させる。焦慮する。
    1. [初出の実例]「涙にも思ひの消ゆるものならばいとかく胸はこがさざらまし〈紀貫之〉」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋二・六四四)
    2. 「君の所在を知らず日夜思を焦したり」(出典:小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉四)

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