焼き米(読み)やきごめ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「焼き米」の意味・わかりやすい解説

焼き米
やきごめ

米を籾(もみ)のまま焙烙(ほうろく)などで炒(い)って搗(つ)いたもの。炒り米。昔は種籾(たねもみ)は、発芽を促すために7~10日間も水に浸(つ)けてから播(ま)いた。厚播きであったし、補植用の種籾も用意したので、大量の種籾の残ることがあった。芽の出かかった種籾は、脱穀して飯に炊いても、まずくて食べられないので、それらを焼き米にして「おやつ」として食べた。保存食料・携行食品としても利用された。また、種播き前の水口(みなくち)祭や、収穫祭に先だつ穂掛け祭には、新穀を籾のままで炒り、田の神に供えることが広く行われた。

[井之口章次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android