稲の成熟した穀粒はもみ殻(稃(ふ))で包まれている。もみ殻をもったままの米をもみ,あるいはもみ米という。これからもみ殻を除けば玄米となる。もみ殻を取り除くのにはゴムロール式のもみすり機が使われており,2本のゴムロールの間をもみが通るとき,すれてもみ殻がはずれるしくみになっている。もみから玄米をとる割合をもみすり歩合といい,ふつう重量では75~85%,容量では50~60%となる。
世界の米産国では米はだいたいもみの形態で貯蔵されており,アメリカでは大きなサイロでばら貯蔵が行われている。日本では大部分玄米の形態で,麻袋や紙袋などの包装容器に入れて貯蔵しているが,昔から農家の土蔵や納屋などでもみのばら貯蔵が一部行われていた。さらに1964年以来,稲作機械化の一環として,かなり大規模なもみのばら貯蔵が一部に行われるようになり,このもみのばら貯蔵施設がカントリーエレベーターと呼ばれるものである。もみ貯蔵ではもみ殻によって物理的障害を受けにくく,水分が適量ならば害虫や微生物の繁殖と鼠害(そがい)が比較的少なく,貯蔵上好適とされている。しかしもみの容積は玄米のおよそ2倍になり,倉庫容積が玄米貯蔵の2倍を要する。
→米
執筆者:竹生 新治郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イネの穎果(えいか)のこと。籾は2枚の籾殻すなわち外穎と内穎とが玄米を包んだもので、さらに基部には小さい2枚の護穎がついている。日本型イネでは護穎の下に副護穎がついているが、インド型イネの籾は副護穎はついていない。外穎の先端部には芒(のぎ)があり、長さは品種によって異なる。野生種や古い品種では芒は長く、10センチメートルに達するものもあるが、現代の新品種では芒はほとんど退化している。イネの種子としては籾が用いられ、種籾(たねもみ)とよぶ。籾は玄米よりも貯蔵性が優れるので、長期間貯蔵する場合には籾で貯蔵される。なお日本では米の収量や生産量は玄米で表示されるが、日本以外の国々では籾で表示される。
[星川清親]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…イネの種実をいう。収穫された米はもみ殻をかぶっており,これを〈もみ(籾)〉という。日本では,もみ殻をはずした玄米の形で包装,集荷,貯蔵するのが多いが,最近一部ではもみのばら集荷,貯蔵が行われている。…
※「籾」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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